36年間の基礎研究と23年の臨床実績

がんに関連する言葉の辞書ページ ら行

辞書ページ

ア行 カ行 サ行 タ行 ナ行 ハ行 マ行 ヤ行 ラ行 ワ行 ABC DEF GHI JKL MNO PQRS TUV WXYZ 0〜9

ワ行の辞書ページ
ワールブルグ効果

頭文字WXYZの辞書ページ
X染色体
ZGA期

ラ行
ラクトフェリン
母乳・涙・汗・唾液などの外分泌液中に含まれる鉄結合性の糖タンパク質である。

ラクトフェリンは、強力な抗菌活性を持つことが知られている。
グラム陽性・グラム陰性に関係なく多くの細菌は、生育に鉄が必要である。
トランスフェリンと同様、ラクトフェリンは鉄を奪い去ることで、細菌の増殖を抑制する。ラクトフェリンの鉄飽和度が高まるに従って抗菌活性は低下する。
この鉄依存性のメカニズムとは別に、ラクトフェリンはグラム陰性菌の細胞膜の主要な構成成分であるリポポリサッカライド(LPS)と結合することで、細胞膜構造を脆弱化し、抗菌活性を示する。

また、ラクトフェリンは緑膿菌によるバイオフィルムの形成を阻害する。
ラクトフェリンをペプシンで分解した部分ペプチドであるラクトフェリシンは、細菌の細胞壁に傷害を与えることで、ラクトフェリンよりも10倍以上強力な抗菌活性を示す。
母乳の中でも、とりわけ出産後数日間に分泌される初乳にはラクトフェリンが多く含まれている。
授乳により免疫グロブリンやラクトペルオキシダーゼなどと共に、母体からラクトフェリンが新生児に取り込まれる。ラクトフェリンはこれらの因子と共同で、免疫系が未熟な新生児を外敵から防御していると考えられる。
乳酸菌やビフィズス菌などの腸内細菌は、生育の鉄要求性が低く、ラクトフェリンは抗菌活性を示さないあるいは、むしろ増殖を促進する[1][2]。幼児にラクトフェリンを投与すると、糞便中のビフィズス菌の検出頻度が上昇することから、ラクトフェリンは腸内フローラの改善に有効であると考えられる。

ウイルスに対する効果
ラクトフェリンはC型肝炎ウイルス(HCV)のエンべロープに結合することで、標的細胞への浸入を阻害する。
ウシラクトフェリンをC型肝炎の患者に経口投与すると、血中のHCV濃度が低下することが報告されている。
ラクトフェリンはHCVの他、B型肝炎ウイルス(HBV)・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)・単純ヘルペスウイルス(HSV)・ヒトサイトメガロウイルス(CMV)・ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)の複製を阻害することが明らかになっている。

原虫に対する効果
トリパノソーマの生育に対して、ラクトフェリンおよびラクトフェリシンは抑制的に働く。

抗酸化作用
過酸化水素からヒドロキシラジカルが生産される反応は鉄により触媒される。
ラクトフェリンは生体内で過剰になった遊離の鉄イオンを取り除くことで、ヒドロキシラジカルの産生を抑制すると考えられる。
ラクトフェリンを経口あるいは腹腔内に投与したマウスにX線を全身照射すると、ラクトフェリンを投与しないマウスと比較して生存率が上昇するが、これはラクトフェリンが鉄補足によりラジカルの産生を抑制したためと考えられている。

免疫系に対する効果
ラクトフェリンは、白血球の一種である好中球の分泌顆粒にも含まれ、炎症反応や細菌の感染に反応して血液中に放出される。
また、経口投与されたラクトフェリンが、腸間膜リンパ節およびパイエル板で免疫細胞に作用する可能性が指摘されている。
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の細胞障害作用や,マクロファージの貪食作用はラクトフェリンにより活性化される。
また、ラクトフェリンはB細胞やT細胞の増殖を促進する作用もある。
これらの免疫系の細胞に対するラクトフェリンの機能は、抗菌活性と同様に生体防御に寄与していると考えられる。
ラクトフェリンは細菌由来の炎症物質であるLPSと強力に結合することにより、LPSのマクロファージへの結合を阻害し、炎症性サイトカインであるTNF-αやIL-6の産生を抑制する抗炎症作用を持つ。

抗がん作用
化学物質投与によるラットの大腸発がんモデル・肺発がんモデルやマウスの大腸癌転移モデルにおいて、ウシラクトフェリンの経口投与は、発がんや腫瘍の転移を抑制する効果が報告されている。
ラクトフェリンは腫瘍細胞にアポトーシスを誘導するほか、血管新生を阻害し栄養と酸素を遮断することで腫瘍組織の拡大を防ぐ。


脂質代謝改善効果
脂肪前駆細胞から成熟脂肪細胞への分化の過程で、ラクトフェリンを培養液に添加すると脂肪滴陽性細胞の数が減少する。
マウスにラクトフェリンを経口投与すると、血液中の中性脂肪と遊離脂肪酸が減少し、肝臓中の中性脂肪とコレステロールが減少する。
臨床試験の結果、ラクトフェリンの投与により体重の減少と腹部内臓脂肪の減少が確認されている。

骨誘導活性
ラクトフェリンは、骨芽細胞の増殖や分化を促進するとともに、破骨細胞による骨吸収を抑制することで骨形成を促進する。
骨粗鬆症のモデルラットにラクトフェリンを経口投与すると骨密度が上昇する。
これが骨芽細胞や破骨細胞に対するラクトフェリンの直接的な作用によるものかは不明である。

歯周病治療
ラクトフェリンは唾液に含まれており、口腔内の病原微生物や歯周病菌に対して抗菌活性を示す。
ウシラクトフェリンの摂取により、歯周ポケット内の歯周病菌数が減少し、歯周病の症状が改善される。
さらに、ラクトフェリンは歯周病菌から分泌されるLPSを中和し、TNF-αの産生を抑制することで、歯周組織の炎症や歯周組織の破壊を防ぐ。

創傷治癒促進効果
ラクトフェリンは真皮を構成する線維芽細胞や表皮を構成する角化細胞(ケラチノサイト)の細胞遊走を促進する。
さらにラクトフェリンは線維芽細胞によるコラーゲンやヒアルロン酸の産生を促進する。皮膚疾患モデルマウスへのラクトフェリンの局所投与により、創傷の治癒が促進され褥瘡が予防されると報告されている。

ラクトフェリン受容体
小腸上皮細胞の刷子縁膜において、レクチンの一種であるインテレクチン1(別名HL-1)がラクトフェリン受容体として機能していることが明らかになっている。
ラクトフェリンは刷子縁側からインテレクチンを介して上皮細胞に取り込まれ、細胞応答を引き起こす。
以前はラクトフェリンが小腸における鉄イオンの取り込みを担っていると考えられていたが、この仮説は現在では否定され、DMT-1(Divalent metal transportor 1) がこの役割を担っているとされている。

リポタンパク質の細胞内への取り込みを担っているLDL受容体関連タンパク質-1(LRP-1/CD91/α2マクログロブリン受容体)のリガンドの一つがラクトフェリンであることが明らかになっている。
骨芽細胞や線維芽細胞において、ラクトフェリンによりLRP-1依存的に細胞内情報伝達経路が活性化される。
また、CHO細胞においてヌクレオリンが、マクロファージにおいてグリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素(GAPDH)が細胞表面におけるラクトフェリン結合タンパク質として報告されている。
興味深いことに、GAPDHを除いてトラスフェリンはこれらの受容体とは相互作用しない。
ナイセリア科の細菌およびモラクセラ科の細菌の一部は、ラクトフェリンが抗菌活性を発揮しない。
これらの細菌では、ラクトフェリン受容体が細胞表面に発現しており、生育に必要な鉄を取り込むためにむしろラクトフェリンを利用しているが、これは真核細胞のラクトフェリン受容体とは全く構造の異なるタンパク質である。

ラミニン
ラミニンは基底膜の主成分で、細胞の接着、移動、増殖および軸索成長などの分化の促進など多くの生物学的活性があります。
基底膜あるいは細胞外マトリックスを構成する主要成分のうち、最も早期(2細胞期)から発現するとされる。

ラミニンに関連する疾患は、遺伝子の欠失、変異といったラミニン自体の量的・質的異常による疾患と、ラミニンを標的抗原とする自己免疫性疾患に大別される。

リソソーム
真核生物が持つ細胞小器官の一つである。ライソソーム、ライソゾームまたは水解小体(すいかいしょうたい)とも呼ばれる。語源は、“lysys(分解)”+“some(~体)”に由来する。生体膜につつまれた構造体で細胞内消化の場である。内部に加水分解酵素を持ち、エンドサイトーシスやオートファジーによって膜内に取り込まれた生体高分子はここで加水分解される。分解された物体のうち有用なものは、細胞質に吸収される。不用物はエキソサイトーシスによって細胞外に廃棄されるか、残余小体(residual body)として細胞内に留まる。

リゾチーム
真正細菌の細胞壁を構成する多糖類を加水分解する酵素である。
この作用があたかも細菌を溶かしているように見えることから溶菌酵素とも呼ばれる。
ヒトの場合涙や鼻汁、母乳などに含まれている。

グラム染色陽性の菌(以下グラム陽性菌)に作用し、グラム染色陰性の菌(以下グラム陰性菌)には作用しない。
これはそれぞれの菌の構造の違いによるもの。
グラム陽性菌の細胞壁はN-アセチルグルコサミンとN-アセチルムラミン酸とがβ-1,4結合した多糖類を主成分とするペプチドグリカン層により構成されていて、ここにリゾチームが作用する。
一方グラム陰性菌は、この細胞壁の外側にさらにリポ多糖による外膜が形成されているため、リゾチームが作用されても細胞壁成分は完全に分解されない。しかし、硬いペプチドグリカン層が分解されるため、その形状は維持できなくなり、球状を呈する。

リゾチームによる溶菌作用を受けやすい菌としては枯草菌(Bacillus subtillis)、Micrococcus lysodeikticusなどが知られている。

律速酵素
生体内で複数の酵素が関与して特定の物質を代謝する際に、それらの酵素の中で最も反応速度の遅いものを律速酵素と呼ぶ。
この酵素の反応速度がその代謝系の代謝速度となる。
肝臓に存在するコレステロール生合成系におけるHMG-CoA還元酵素(レダクターゼ)、全ての細胞の細胞質に存在する解糖系のホスホフルクトキナーゼなどがある。

リボソーム
リボソームは、一連の伝令RNA(en:Messenger RNA)を読み取り、転移RNA(en: Transfer RNA (TRNA))に結びついたアミノ酸から所定のタンパク質を組み立てる。
リボソーム阻害剤

リボソーム阻害剤は病原細菌の増殖停止を目的にした感染症の化学療法薬にも利用されている。病原細菌に対する毒性は高いがヒトに対する毒性が低い、選択的治療薬として働くためである。このような薬として、抗生物質である。



リボソームRNA(rRNA)
リボゾーム(英: Ribosome; ライボソーム)は、あらゆる生物の細胞内に存在する構造であり、粗面小胞体 (rER) に付着している。
mRNA(ミトコンドリアRNA)の遺伝情報を読み取ってタンパク質へと変換する機構で、ある翻訳が行われる場である。
大小2つのサブユニットから成り、これらはタンパク質(リボソームタンパク、ribosomal protein)とRNA(リボソームRNA、rRNA; ribosomal RNA)の複合体である。

リボ核酸(RNA)
リボヌクレオチドがホスホジエステル結合でつながった核酸である。
RNAと略されることが多い。
RNAのヌクレオチドはリボース、リン酸、塩基から構成される。
基本的に核酸塩基としてアデニン (A)、グアニン (G)、シトシン (C)、ウラシル (U) を有する。
RNAポリメラーゼによりDNAを鋳型にして転写(合成)される。
各塩基はDNAのそれと対応しているが、ウラシルはチミンに対応する。
RNAは生体内でタンパク質合成を行う際に必要なリボソームの活性中心部位を構成している。

生体内での挙動や構造により、伝令RNA(メッセンジャーRNA、mRNA)、運搬RNA(トランスファーRNA、tRNA)、リボソームRNA (rRNA)、ノンコーディングRNA (ncRNA)、リボザイム、二重鎖RNA (dsRNA) などさまざまな分類がなされる。

ホスホジエステル結合:炭素原子の間がリン酸を介した2つのエステル結合によって強く共有結合している結合様式のこと。
地球上のすべての生命に存在し、DNAやRNAの骨格を形成している。
この場合、(デオキシ)リボースの5'位の炭素原子と、他の(デオキシ)リボースの3'位の炭素原子の間を結合している。


リンクタンパク質
アグリカンのN末端球状G1ドメインは、HAに高い親和性を持つレクチン様結合部位をもち、凝集の形成を可能にしている。
HAは分子量数百万にもなる、長くて枝分かれのない鎖なので、各鎖は多数のアグリカンと結合して、分子量として数千万にもなる凝集体を形成することができる。
各アグリカンのHAへの結合は、リンクタンパク質と呼ばれる小さな糖タンパク質(45 kDa)によってさらに安定化されている。

リンパ球ホーミング
骨髄や胸腺などの一次リンパ組織で産生されたリンパ球は、血管系を介してリンパ節、パイエル板、脾臓などの二次リンパ組織に移住する。
リンパ節、パイエル板に移住したリンパ球は、対応抗原に出会わない限りは、輸出リンパ管からリンパ液中に移行し、胸管を介して再び血液中に戻る。
そして再び血管系を介して、二次リンパ組織に向かうという現象を繰り返す。
この過程は、リンパ球ホーミング現象(lymphocyte homing)またはリンパ球再循環現象(lymphocyte recirculation)と呼ばれる。
二次リンパ組織のひとつであるリンパ節へは体内の種々の組織由来の抗原がリンパ管を介して集まる。
一方脾臓では血液中の抗原が捕捉(ほそく)される。また、粘膜関連リンパ組織であるパイエル板には、粘膜上皮を介して体内に入った抗原が集積する。
このように二次リンパ組織には、外来性の抗原が濃縮される。
抗原感作を受けていないリンパ球が恒常的に血管系・リンパ系を介して二次リンパ組織間を循環することにより、リンパ球が抗原と出会う確率が高まる。
すなわち、リンパ球ホーミングは二次リンパ組織においてリンパ球が効率良く抗原と出会うために重要である。

リンパ洞(lymphatic sinus)
リンパ節の被膜や小柱と実質リンパ組織との間に存在するリンパ流路となる間隙。細網線維と細網細胞によりクモの巣状の構造を示す。
リンパ洞内に異物が侵入すると、リンパ節実質から多数のマクロファージが流入し、異物を貪食する。



リン酸エステル結合
生化学において最も重要な無機オキソ酸(リン酸)は、DNA、ATPを構成するため非常に重要。
生化学反応では、低分子化合物の代謝においてリン酸が付加した化合物をリン酸エステルと言い、リンが付加した、即ち結合したことをリン酸エステル結合と言う。

オキソ酸:ある原子にヒドロキシル基 (-OH) とオキソ基 (=O) が結合しており、且つそのヒドロキシル基が酸性プロトンを与える化合物のことを指す。

エステルとは、有機酸または無機酸のオキソ酸とアルコールまたはフェノールのようなヒドロキシル基を含む化合物との縮合反応で得られる化合物である

縮合反応:2つの官能基からそれぞれ1部分が分離し、それが結合して小さな分子を形成して脱離し、それと同時に2つの官能基の残った部分同士でも結合が生成して新しい官能基が生成する形式の反応である。 例えばカルボキシ基 -COOH とヒドロキシ基 -OH の縮合反応では、カルボキシ基から OH、ヒドロキシ基からは H が分離して結合し水分子が脱離する。 それと同時に残ったカルボキシ基の -CO の部分とヒドロキシ基の -O の部分も結合してエステル結合 -COO- が生成する。

官能基:化合物に特定の化学的な性質を与える役割を果たす。

アルコール:化学においてのアルコール(英: alcohol)とは、炭化水素の水素原子をヒドロキシ基 (-OH) で置き換えた物質の総称である。
芳香環の水素原子を置換したものはフェノール類と呼ばれ、アルコールと区別される。


リン酸化
リン酸化は、「ホスホリル化」とも呼ばれる。リン酸化を触媒する酵素は一般にキナーゼ (Kinase) と呼ばれ、特にタンパク質を基質とするタンパク質キナーゼを単にキナーゼと呼ぶことも多い。
なお、ATP生合成(ADPへのリン酸化)を単にリン酸化と呼ぶこともある(「酸化的リン酸化」等)。
リン酸化の調節の例として、p53癌抑制タンパク質がある。p53タンパク質の調節はとても多く、18以上のリン酸化サイトを含んでいる。
活性化したp53は細胞周期の進行を抑えたり(いくつかの要因によっては逆にする)、アポトーシス細胞死を導くことができる。
この活動状態は、細胞の状態がダメージを受けているか生理機能が通常の健康な個体を妨げるているときのみ生じる。


レクチン
糖鎖に結合活性を示すタンパク質の総称

ローレンツ力
電磁場中で運動する荷電粒子が受ける力のことである。 名前はヘンドリック・ローレンツに由来する。

ラ行先頭へ