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病気の起源「がん」 NHKスペシャルより
がん細胞の誕生
およそ5億5千万年前、多細胞生物が生まれた時がん細胞が生まれたと考えられます。
そのわけは、細胞分裂の際遺伝子のコピーミスからがん細胞が出来たと考えられ、がんになることは、多細胞生物の宿命なのです。


哺乳類の中でヒトが一番がんになりやすい
ヒトとチンパンジーのDNAを比較すると99%同じです。
しかし、がんの死亡率がチンパンジー2%、日本人が30パーセントなのです。
なぜ人類だけが、これほど“がん”になり命を落とすのか。

その答えは、人類が二本の足で歩き脳を巨大化させてきた陰で、宿命として抱え込んでいたことにあることが、最先端の研究から明らかになってきた。
実はヒトは、他の動物に比べ“がん細胞”が増殖しやすい条件を、進化の過程で幾つも抱え込んでいたのです。


“がん細胞”を増殖させ続ける遺伝子
その一つに、精子を作る遺伝子の違いがあります。
チンパンジーや他の動物は交尾をするのが1年に1回程度ですが、ヒトは何時でも交尾が出来るため、精子は毎日作られています。

がん細胞の細胞増殖のしくみが精子を作る仕組みと非常に似ている為、遺伝子を調べたところ、がんを作る遺伝子と精子を作る遺伝子と一緒である事がわかりました。
DNAメチル化異常を誘発する要因 参照)


“がん細胞”の栄養源(脂肪酸)を大量に作ってしまう仕組み
それは、脳の巨大化です。
人の脳の急速な巨大化に細胞の材料の脂肪酸を作る酵素FASが深く関与しました。
人のFAS酵素は他の動物と比べて強力です。
人のがんはその強力なFASをも大量に利用して、がん細胞は、急激な増殖が出来るのです。
がんと脂質代謝 参照)


脱アフリカ、“がん細胞”の増殖を防いできた体内物質の減少など・・・。
巨大な脳は、人に多彩な適応力を身に付けさせました。
人は、アフリカを出て全世界に広がりました。
寒冷な紫外線の弱い地域でも暮らすようになりました、その弊害として、がん発症も増えたのです。

例えば、寒冷で紫外線が少ない米国ネブラスカ州プリモント市は、全米一大腸がんによる死が多いのです。
そのわけは、紫外線によって生成される活性型ビタミンD不足が大腸がんに関係しているからなのです。

当地でなされた大規模な比較実験では、ビタミンD服用者たちと服用しなかった者と比較したところ、大腸がん発症は半分になりました。


ビタミンDとがん発生率
ビタミンDの摂取量を増やすと、乳がん、大腸癌、肺癌の発生率が半減しました。

また、18世紀産業革命以降、産業の発達と共に、多くの発がん物質が生み出され、環境汚染が進み、がん患者が増えました。

そして、エジソンの電球の発明以降、昼夜の隔たりが無くなり夜間勤務の職業が増えメラトニンの産生が減少しました。

メラトニンは夜間、眠っている時に増え、がんを抑制する働きがあります。
夜間勤務者はメラトニンが5分の1しか分泌されない結果、乳がんは2倍、前立腺がんは3倍に増えました。

血中メラトニン量が少ないとがんは増殖し、メラトニン量が増えるとがんは増殖しません。

しかし、総ての人が朝起きて昼間は外で働き、夕暮れに寝る健康な生活をすることはできません。
現代社会では、夜間勤務の医師、看護師、消防士、警察、は不可欠なのです。
現代社会を享受している以上、メラトニン不足に、大気や食物中の発がん物質(親電子性物質)の摂取によるがんリスクは避けられません。

それは高度な知能と豊かな生活を得た代償なのです。

酸化ストレスとメラトニン親電子性物質とは 参照)