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前立腺がん・前立腺癌治療の知識と情報

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□医療相談

前立腺がん(前立腺癌)予後は、全身状態、年齢、病期、細胞分化度などに依って決まります。
病期C、Dの進行した前立腺がん、特に低分化腺癌では、5年生存率が低い。

進行した前立腺がんは、次のような症状や転移が見られます。
PSAの上昇、排尿障害、血尿、痛み、再燃、片葉、両葉への浸潤、精嚢への浸潤、隣接組織への浸潤、リンパ節転移、肺転移、骨転移など。

前立腺がん(前立腺癌)治療に不安や行き詰まりを感じたり、ホルモン療法や放射線治療の副作用の軽減、全身状態(PS)の改善、QOL(生活の質)の向上、延命、治癒を目指す前立腺がん(前立腺癌)の治療法を検討されている方。

西洋医学との併用、あるいは西洋医学以外のアプローチ方法もございますので、前立腺がん(前立腺癌)治療無料相談よりお問合せ下さい。

□前立腺がん(前立腺癌)とは

前立腺は男子の膀胱の出口、尿道のはじまりの部分を取り囲むクルミ大の臓器で、精液の一部を作っています。
尿道に接する内側の部分を内線、外側の部分を外線とよびますが、前立腺がんのほとんどは外線にでき、発生する癌細胞の組織型は、ほとんどが腺癌です。
一方、高齢者に多い前立腺肥大は内線にできます。

前立腺がんで亡くなる人は、年々増加の一途を辿り、1975年は年間2000人であったが、その後増え続け、2000年には約11.5倍の約2万3000人にもなりました。

2000年度の悪性新生物による死亡統計によると、前立腺がんによる日本の総死亡者数は7514人であり、人口10万人に対する年齢調整死亡率は8.6で、肺癌・胃癌・肝臓癌・結腸癌・膵臓癌・食道癌・直腸癌に次いで第8位となっています。
すなわち日本で前立腺がんは、がん死亡者の約3.5%から4%を占め、近年急増傾向にあり、2020年には男性では肺癌に次ぐ2位に躍り出ると予測されており、罹患者数は7万8000人から8万人以上、がん死亡者の割合は10%になると予想されています。

前立腺がんのおもな原因
食事
:食生活の欧米化により動物性脂肪や動物性タンパク質の摂取量が増えたこと、 繊維質やビタミンAの摂取量が減っていることが前立腺がんのリスクとなります。
乳製品の摂り過ぎは前立腺がんの発症リスクを高めると言われています。
また、カルシウムや飽和脂肪酸の摂取が前立腺がんのリスクをやや上げることがわかっています。

遺伝:若年例では家族性の前立腺がんが存在します。
また、血縁に前立腺がんがある場合、前立腺がんの罹患率が上がることが知られています。
血縁においては父親か兄弟の一方に前立腺がんにかかった人がいると本人がかかる危険性が2倍になり、1親等(父親)と2親等(祖父・兄弟)の両方に前立腺がんにかかった人がいると危険性は約9倍にも上昇します。

感染:レトロウイルスであるXMRVによる感染と前立腺がんとの関連が研究されています。

年齢:前立腺がんは60歳から増え始め、70歳以上で最も多くなり、加齢と共に発生率が急カーブで上昇する事が顕著になります。
ただし家族性の前立腺がん、すなわち遺伝では40代の若さで発症する例も多くみられます。

生活:自転車や乗馬などはサドルや馬の背に跨って前立腺を刺激するため、好ましくありません。
また、メラトニンは夜間、眠っている時に増え、がんを抑制する働きがあります。
夜間勤務者は、メラトニンが5分の1しか分泌されない結果、乳がんは2倍、前立腺がんは3倍に発がんリスクが増える事が疫学調査でわかりました。

飲酒:喫煙―飲酒が前立腺がんのリスクになるメカニズムとして、お酒に含まれているエタノールが分解されてできるアセトアルデヒドがもつ発がん性や、アルコールによる前立腺がんリスク要因である性ホルモンなどへ影響、などの可能性があげられます。
同様に、喫煙にも前立腺がんの進行を促進させるエストロゲン代謝物を増加させるなどのメカニズムにより、進行前立腺がんのリスク因子となる可能性が考えられます。

前立腺がん予防の可能性
大豆に含まれるイソフラボン成分であるゲニステイン濃度、ダイゼインの代謝物であるイコール濃度が高いグループの前立腺に限局する前立腺がんリスクは低くなります。
イソフラボンの血中濃度が高いと、限局前立腺がんのリスクを低下させます。
但し、進行前立腺がんでは作用しません。
緑茶をよく飲むグループで進行前立腺がんのリスクが低下します。
他に肉食を控えて減塩し、新鮮な野菜や果物を中心にした食生活も効果があるとされています。

前立腺がんの自覚症状
前立腺がんは外線にできるためすぐに尿道を圧迫することがなく、早期のうちにはほとんど症状がありません。
がんが大きくなって尿道や膀胱を圧迫するようになると排尿に関連したさまざまな症状が見られるようになります。

排尿障害:前立腺がんの代表的な自覚症状は排尿障害です。
前立腺がんは尿道から離れた辺縁域にできやすいため、尿道まで及んで排尿障害を自覚できた時は癌が進行していると考えられます。
前立腺がんの排尿障害は様々な形で現れ、具体的には夜中に何度もトイレに通う夜間頻尿、尿線が細くなって放物線を描いて飛ばない尿線最小、排尿し終わるまで時間がかかる排尿遅延、途中で止まりいきまないと続けられない尿線途絶といった症状があります。

その他の尿障害:残尿感、尿失禁、血尿、精液に血が混じる血精液症、強い尿意があるのに全く尿を出せない尿閉などがあります。

骨転移:前立腺がんが骨盤や腰椎に転移(骨転移)すると、背中や腰の痛み、足の痺れなどが出てきますが、この場合は癌が既にかなり広範囲に広がっている状態で脊髄神経を圧迫し、鈍痛から刺すような痛みまで様々な痛みを伴う事になります。

リンパ節転移:前立腺がんがリンパ節に転移した場合はリンパ液の流れが滞り、足や陰嚢、下腹部に浮腫みが生じますが、ここまで進行した場合は腎臓から膀胱へ尿を送る尿管も癌に侵され、尿の流れが障害されて水賢症を起こし、腎臓の働きが低下する場合もあります。

勘違いされ易い自覚症状の注意点
前立腺肥大と前立腺がんは、類似した症状が多い為勘違いされ易いので要注意です。
前立腺肥大かと思っていたら前立腺がんに移行している場合も多くありますのでPSAの検査などを定期的に受けられると良いでしょう。
また、排尿障害は主に高齢者に多いため、治療の機会を逃がしてしまい症状が出た時には全体の7割から8割が進行癌か転移癌の状態になっている例も多いようです。

□前立腺がんの検査と診断

検査の手順

1)前立腺がんの可能性を調べるスクリーニング検査
2)本当に前立腺がんであるかどうかを調べる詳しい検査
3)前立腺がんと診断された後、がんの進行度を調べる検査があります。
この検査の結果によって、がんの診断と治療法の選択が行われます。

スクリーニング検査
PSA(前立腺特異抗原)検査
:1980年代に発見された前立腺がんの腫瘍マーカーPSAは前立腺がんの早期発見に大いに貢献しています。
他の多くの腫瘍マーカーは複数のがんに反応したり、初期には数値の上昇がないことがありますが、PSAは前立腺の異常だけに敏感に反応します。

前立腺がんの実に90%程度がこのPSAの検査で見つかっている画期的な検査方法です。
がんの進行とともにPSA値も上昇するため病期(ステージ)も予測することができます。
ただし、前立腺肥大症や前立腺炎でも上昇することがあるためPSA値だけではがんの確定診断はできません。

直腸指診
PSAの検査で数値が高めであった場合に行われます。
直腸指診は、肛門から直腸の中に指を入れて、 直腸の壁越しに前立腺の大きさや形、硬さ、周囲との境界、痛みの有無などの状態を調べる検査です。
がんが進行している場合には前立腺は硬くなり、周囲の組織との境目が不明瞭になってきます。
炎症が起きている場合には痛みも伴います。

超音波検査
PSAの検査で数値が高めの場合に行われる検査で、前立腺の場合の超音波検査は肛門から 超音波発信器を入れて直腸を通して前立腺の状態を調べる経直腸的超音波検査が行われます。
正常な前立腺は左右対称で、周囲との境界もはっきりしていますが、がんになると左右非対称になったりいびつな形になったり、境界が不明瞭になります。
また、直腸診では分からない前立腺の内部の状態を画像で確認することが出来ます。

前立腺針生検(組織検査)
上記検査でがんの疑いがあれば針生検を行い前立腺がんの確定診断が行われます。
経直腸的超音波検査で前立腺の位置を確認しながら針を刺して組織を採取し顕微鏡で検査を行い、がんの拡がり具合、がんの悪性度などを判断します。

前立腺に発生する悪性腫瘍のほとんどは腺癌(adenocarcinoma)であり、前立腺固有の腺房細胞由来であるためWHO分類ではacinar adenocarcinomaと記載されています。

通常、日本においては、腺癌の病理組織学的分類として癌細胞の分化の程度に応じて高分化腺癌、中分化腺癌、低分化腺癌に分ける方法が採用されてきました。
しかし、世界的な潮流としてグリーソン分類の使用が推奨されるようになり、現在、日本では従来の分化度による分類とグリーソンスコアを併用して病理診断がなされています。

前立腺針生検を行わない画像診断が可能
M磁力強度の高いMRI(3.0テスラMRI)や経直腸のMRIを用いることで画像診断が可能になってきています。
また、カラードップラー検査を用いた経直腸超音波でも、画像診断は可能となってきています。

以上の検査で前立腺癌が確定した場合には、がんがどこまで拡がっているのかを調べることになります。

CT検査(コンピュータ断層撮影検査)
CT検査(CTスキャン)はいろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影しコンピュータを使って 非常に鮮明な画像を得ることができます。
周囲の臓器やリンパ節転移の有無を調べることができ癌の進行具合を調べるためには重要な検査になります。

MRI検査
MRI検査は磁場を使っていろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影する検査です。 放射線の被曝がなく超音波検査では見分けの付きにくいがんもMRI検査で診断できる場合があります。

骨シンチグラフィー
前立腺がんは骨に転移しやすいので、骨転移の有無・位置を知るために アイソトープ(骨転移のある部分に集まる物質)を 注射して2〜3時間後、特殊なカメラで全身の骨を検査します。

血液検査
ALP(アルカリホスファターゼ)基準値 100〜325IU/l
がんが骨に転移した場合にはALPの数値が異常に高くなります。

前立腺がんの病期(ステージ)分類

TNM分類
T1a :直腸診や画像検査では見つからないが、組織を調べると切除した組織の5%以下に偶然発見された癌。
T1b :直腸診や画像検査では見つからないが、組織を調べると切除した組織の5%を超え、偶然見つかった癌。
T1c :直腸診や画像検査では見つからないが、PSA値の上昇で疑われ、生検によって確認された癌。
T2a :癌が前立腺の片葉の2分の1に留まっている。
T2b :癌が前立腺の片葉の2分の1を超えているが、両葉には及ばない。
T2c :癌が前立腺の両葉に広がっているが、前立腺内に留まっている。
T3a :癌が前立腺の被膜外へ広がっている。
T3b :癌が精嚢まで広がっている。
T4 :癌が精嚢以外の隣接臓器(膀胱・頸部・外尿道括約筋・直腸・拳筋・骨盤壁)に広がっている。

N1 :前立腺癌の近くにあるリンパ節に癌が広がっている。

M0 :遠隔転移なし。
M1 :前立腺から離れたリンパ節や臓器などへの転移、骨への転移がある。

ABCD分類
A1 :前立腺内に留まっている高分化癌(=T1a)
A2 :前立腺内に広がった癌か低分化癌(=T1b)
B1 :前立腺癌の片葉に病変が留まっている単発の癌(=T2b)
B2 :前立腺の片葉全体か両側にまたがっている癌(=T2c)
C1 :前立腺の被膜や被膜外に広がっている癌(=T3a)
C2 :膀胱頸部か尿管の閉塞が見られる(=T4)
D1 :骨盤内のリンパ節に癌の転移が見られる(=N1)
D2 :D1より広範囲のリンパ節や骨、肺、肝臓などの遠隔部位に癌の転移が見られる(=M1)

グリーソンスコア
前立腺がんの場合、がんの悪性度をグリーソンスコアという病理学上の分類を使って表します。この分類は、米国のグリーソン博士によって提唱された、前立腺がん特有の組織異型度分類です。最近では、前立腺がんの治療法を選ぶ際に、重要な分類法です。
まず、生検で採取したがん細胞の組織構造を顕微鏡で調べて、もっとも面積の多い組織像と、2番目に面積の多い組織像を選びます。次に、それぞれの組織像を図に示す1(正常な腺構造に近い)〜5(もっとも悪性度が高い)までの5段階の組織分類に当てはめます。
そして、その2つの組織像のスコアを合計したものが、グリーソンスコアになります。グリーソンスコアでは、もっとも悪性度の低い「2」から、もっとも悪性度の高い「10」までの9段階に分類されることになります。たとえば最も面積の多い組織像が「3」で、2番目に面積の多い組織像が「4」の場合は、「3」+「4」=「7」となります。
一般的に、生検でのグリーソンスコアでは、スコアが「6」以下は性質のおとなしい前立腺がんであり、「7」は前立腺がんの中で最も多く認められ、中程度の悪性度であり、「8」以上は悪性度の高い前立腺がんと診断されます。

□前立腺がんの治療をはじめるにあたり

前立腺がんの治療は、医師の協力の下で治療方針、治療期間、メリット・デメリットなどの説明を十分にうけ、患者さんが自分の価値観などを考慮し 最終的な治療方法を患者さんが主体となって決定する時代になりつつあります。

前立腺がんの治療をはじめるにあたり「がん(癌)治療の知識と情報」に詳しくまとめましたので是非参考にしてください。

また医療の進歩とともに治療方法も多様化してきており、 医師によって治療方法が異なることは珍しくなく、主治医以外の医師の意見を聞くセカンドオピニオンを求めることが必要な時代になってきました。

詳しくは「インフォームドコンセント」と「セカンドオピニオン」をご覧下さい。

がん治療の知識と情報の「がん治療法を選択するに際してのアドバイス」を是非参照ください

□前立腺がんの治療はがんの進行度により選択します

限局性の癌
限局がんはがんがまだ前立腺の内部にとどまっている状態で、適切な治療によって根治できる可能性が非常に高いことがわかっています。

限局性の前立腺がんの治療には、無治療経過観察・放射線療法・手術療法・ホルモン療法があります。

無治療経過観察
前立腺癌は、前立腺肥大症などのほかの病気を手術した際に発見されることがあります。 また、高齢者でPSA値や画像検査で前立腺がんの疑いがあり、生検をしたところがんが発見されることがあります。

これらの初期のがんで悪性度(異型度)が低いおとなしいがんは「偶発がん」といわれ、グリーソン分類では3以下のがんになります。

この場合にはすぐに治療を行うのではなく、定期的にPSA値の測定をし、変化を見ていきます。
PSA値の変動がない場合にはがんが成長していないと考えられるため、そのまま経過観察をします。
PSA値が上昇するようであれば必要に応じて治療を開始します。

放射線療法
放射線療法は一般的に体への負担が少ない療法で、放射線を用いて、がん細胞の遺伝子を破壊し、がん細胞の分裂や増殖を抑えて、がん細胞を死滅してしまう方法です。
前立腺がんに対する放射線治療には手術療法と同様、転移がない根治可能な前立腺がんに行われる場合と、骨転移による疼痛緩和や骨折予防のために対症療法として行う場合があります。

前立腺癌の放射線療法には新しい方法が次々と登場し、それだけに治療の選択も広がっているため、個々の特徴を見極めて自分に合った選択をする必要があります。
種類としては大きく分けて二通りあり、1つは体の外から放射線をあてる外照射療法と呼ばれる治療法です。
もう1つは、組織内照射法(密封小腺源療法)体の中に放射線源を入れ、中から放射線をあてる療法です。

外照射療法
転移のない前立腺がん、すなわち早期がんから局所進行がん(病期分類T1N0M0〜T4N0M0)に対して、体の外から高エネルギーのX線を前立腺に照射して治療する方法です。

組織内照射法(密封小腺源療法)
放射線を放出する物質(ヨウ素125)を密封した小さな線源を、前立腺の中に永久的に埋め込み照射する方法です。
通常、治療は3泊4日程度の入院で腰椎麻酔下にて行われます。

超音波の探子を直腸内に挿入固定し、前立腺の超音波で観察しながら、会陰部(陰のうと肛門の間)より前立腺内にヨウ素を密封した線源を、前立腺の体積に応じて50〜100個程度、永久的に挿入します。
線源は長さ4.5mmで直径は0.8mmでチタンによって密封されています。
挿入された線源から体の外へ放出される放射能はごくわずかで、日常生活にほとんど制約はありません。

治療後約1年で放射能がなくなります。
合併症は、外照射と同様ですが、針を何本も前立腺に刺して線源を挿入するため、治療後一過性に排尿困難が起こることがあります。

この治療の適応は前立腺内にとどまった早期の前立腺がんの中でも、悪性度の低いものがよい適応とされています。
具体的には、診断時のPSA値が20ng/ml以下、病期がT2N0M0以下、グリーソンスコアが7以下の条件を満たし、その中でも低リスクの症例は小線源単独治療、中リスクの症例は小線源治療に外照射法を併用して行う方法があります。

がん治療の知識と情報の{放射線療法}をご参照ください。

手術療法
根治的前立腺全摘除術

手術によって根治が期待できる症例に対して行います。
前立腺を精嚢腺とともに摘出し、膀胱と尿道を吻合する手術です。
通常は所属リンパ節も郭清します。
がんが前立腺の中にとどまっており、大きな合併症もなく期待余命が10年以上ある場合よい適応とされ、病期がT1〜T2N0M0、およびT3aN0M0の一部が手術の適応となります。
手術の方法には開腹手術や腹腔鏡手術があります。
手術の合併症として、尿失禁と性機能障害があります。

性機能障害について
前立腺全摘除術では前立腺、精嚢腺摘出され、精管も切断するため、術後射精は出来ません。
通常は勃起を支配する神経も合併切除するため、勃起障害も起こります。
また勃起に関しては神経温存手術にて温存の可能性はありますが、がんの状態によってはがんを残してしまうこともあるため、十分な検討が必要です。

da Vinci(ダビンチ)手術 (医療ロボット手術)
2012年4月に保険収載された。
腹腔鏡手術はモニターを見て手術をするため二次元の映像を見ての手術となるが、da Vinciは3次元立体画像を表示でき術者はそれをみて手術を行える。
さらに腹腔鏡手術で使う鉗子と違い多関節の鉗子であるため、細かい作業が可能となり、また手振れ防止機能も搭載されている。

予後
前立腺がんは、進行が遅いがんで、前立腺内に限局している場合は手術療法で10年生存率が90%以上と、比較的予後がよいがんとして知られています。

内分泌療法(ホルモン療法)
前立腺がんは、精巣および副腎から分泌される男性ホルモンによって増殖していきます。内分泌療法は、男性ホルモンの分泌抑制や働きを遮断することによって、前立腺がん細胞の増殖を抑制する治療法です。

内分泌治療には外科的去勢(精巣摘除術)と薬物療法があります。

薬物療法
薬物用法には注射と飲み薬があり、注射はLH-RHアゴニストと呼ばれる注射剤を使います。これを1ヵ月または3ヵ月に1回注射をすることにより男性ホルモンの分泌を抑制します。

また飲み薬は、男性ホルモンの前立腺がん細胞に対する働きを遮断する抗男性ホルモン剤(抗アンドロゲン剤)を内服します。
通常、内分泌治療は注射剤か飲み薬のどちらか、もしくは両方を併用して治療開始します。

薬物療法の副作用
ほてり、のぼせ、急な発汗などのホットフラッシュと呼ばれる症状が多くみられます。
また、女性化乳房、性欲低下、勃起障害、肝機能障害などがあります。

外科的去勢(精巣摘除術)
男性の両側の精巣すなわち睾丸を手術する事により摘出する外科的去勢術の事です。
これは最も古くから行なわれている方法で、精巣から分泌される男性ホルモンを無くす事を目的としています。

外科的去勢(精巣摘除術)のメリット&デメリット
メリットとして挙げられるのは手術自体が約30分と短く済む事、身体の負担が少ない事であり、また言葉だけ見ると袋すなわち陰嚢ごと切除すると誤解されがちだが、実際は袋の中にある精巣だけを取り出すので外見上はそれほど違和感も無く、治療費も比較的安価で行なえる事です。

男性のシンボルである精巣を取り去ってしまう事は、仮に子供を作る予定が無い人、あるいはその年齢を既に大幅に過ぎている人でも心理的ダメージや抵抗感があり、これがデメリットと言えます。
現在ではLH-RH(黄体化ホルモン放出ホルモン)アゴニストにより同じ効果が得られるため、外科的去勢術は減少する傾向にあります。

内分泌療法の対象
内分泌治療は基本的には転移のあるがんに対して行われます。
転移した前立腺がんは、転移した部位の細胞も同じ前立腺がんの性質であるため、転移した部位にも同様に効果が期待できます。

それから、手術や放射線治療を希望しない患者さんや、高齢者の転移のない前立腺がん患者さんにも行うことがあります。
また、治療効果を高める目的で、手術や放射線治療の前(ネオアジュバント療法)と治療後(アジュバント療法)に内分泌治療が併用されることがあります。

しかし、内分泌治療は未治療前立腺がんの80%以上に効果が認められますが、長期間治療を継続していると、徐々に効果が弱くなり、再びがん細胞が増殖を始め、病状が進行し再燃がんと呼ばれる状態となります。

再燃前立腺がんに対しては、抗男性ホルモン剤の変更や、女性ホルモン剤や副腎皮質ホルモン剤の投与が行われますが、持続的な効果が得られることは少なく、治療に苦慮します。このように内分泌治療は有効な治療法ですが、これのみで完治することは難しいと言われています。

LH-RH(黄体化ホルモン放出ホルモン)アゴニストとは
脳の下垂体に作用してLH(黄体化ホルモン)及びテストステロンという男性ホルモンの分泌を抑えて癌の進行を阻害する薬剤の事です。
通常、脳の視床下部で作られるLH-RH(黄体化ホルモン放出ホルモン)とは、下垂体にLHを作るように指令を出しており、LHは精巣にテストステロンを作るように働きかけるので、それにより前立腺がんの細胞が増殖する事になります。

LH-RHアゴニストはLH-RHと構造が似ている薬で、継続的に用いると下垂体が常に刺激された状態になりLHを放出し続けます。
そのため、治療開始後から約4日間はLHの分泌量が一時的に増加し、テストステロンの分泌量も増加します(フレアアップ現象)。

その後はLHが枯渇したような状態になり、精巣が刺激されなくなり、結果として精巣でのテストステロン生成が止まり、癌細胞の増殖が抑えられるという治療法です。

LH-RH(黄体化ホルモン放出ホルモン)アゴニスト治療のメリット&デメリット
外科的去勢術と違って心理的ダメージを受ける事が無く、手術のように痛みを伴わず、外来治療のみで簡単な事がメリットで、近年はこの治療方法を選択される方が多い。

外来治療のため定期的な通院が必要であり、さらにそれに伴う経済的負担も大きい事がデメリットです。
治療効果としても外科的去勢術とLH-RH(黄体化ホルモン放出ホルモン)アゴニストは同等であり、要は経済的、心理的、肉体的負担など多方面からどちらを選択するか慎重に検討する事が必要です。

MAB(CAB)療法
MAB(CAB)療法とは、Maximum/Combined Androgen Blockade、マキシム/コンバインド・アンドロゲン・ブロッケイド)療法の事です。
わかりやすく言えば、精巣と副腎からの男性ホルモンをブロックする療法で、LH-RH(黄体化ホルモン放出ホルモン)アゴニストと男性ホルモンの分泌を抑える女性ホルモン薬(エストロゲン)を使うか、 男性ホルモンが前立腺に働きかけるのを防ぐ抗男性ホルモン薬(アンチアンドロゲン)を内服で使います。

女性ホルモン薬には(エストラサイト、ビアセチル、プロエスタ)や ホンバンがあります。 副作用で特に注意が必要なのは血栓や心筋梗塞・心不全で、胸部痛、手足の浮腫み、動悸・息切れ、立ちくらみ、 手足のしびれなどが出た場合には致命傷になることがあるためすぐに対応する必要があります。

抗男性ホルモン薬にはステロイド性の薬と非ステロイド性の薬があります。

ステロイド性の抗男性ホルモン薬にはプレドニゾロン(プレドニゾロン、プレドニン)、デキサメタゾン(デカドロン、デキサメサゾン、ミタゾーン、コルソン)などの薬があります。
非ステロイド性の薬にはカソデックス、オダイン、プロスタールなどの薬があります。

これらの薬の副作用には過敏症、悪心、嘔吐、呼吸困難、女性化乳房および肝機能障害がみられることがあります。

薬物(ホルモン)療法を長く続けていると効果がなくなってくるため、できるだけ長期にわたって効果を持続させるために薬を使わない時期を設ける 「間欠療法」が行われるようになってきました。

PSAの数値が下がったらホルモン剤の投与を一度休止し、上昇してきた場合に再び使い始めるといいうもので、
副作用を軽減し、効果を長続きさせられるといわれています。

化学療法
前立腺がんは生存率が高く進行性も遅く、手術療法や放射線療法は有効であるが化学療法だけは効果が無いと言われていました。
そんな中で2004年にアメリカで承認されたドセタキセル(タキソテール)が2008年8月から日本でも使えるようになりました。
これは前立腺がんで初めて立証された抗癌剤です。

抗癌剤は薬物療法(ホルモン療法)が効かなくなり癌が再燃した場合、延命を目的に使用される事になります。
抗癌剤は通常、ドセタキセルにステロイド剤を併用します。
治療の現場ではエストラムスチン(エストラサイト)が使用される場合が多くみられます。

抗癌剤のメリット&デメリット
抗癌剤、すなわち化学療法では一定期間の延命や痛みの緩和は期待できますが、抗癌剤
の場合、副作用の例が多いのです。
主な副作用として白血球と血小板の減少(骨髄抑制)で感染や出血しやすくなる。
他に発疹などのアレルギー反応、吐気、口内炎、下痢、味覚変化、筋肉や関節の痛み、脱毛、痺れ、浮腫み、倦怠感、疲労感、食欲低下、乳房の膨大、静脈血栓塞栓症などがあげられます。
また、抗がん剤治療は薬剤耐性(抗がん剤が効かなくなる)が半年くらいで現れます。
効果についても、抗がん剤治療を受けた方が全てに効果が期待できるわけではなく、30%前後の方に効果が期待できるわけで、他の70%の方は副作用だけ受けた事になり、逆に短命のリスクを受けることになります。
QOLを考えますと抗がん剤の選択は検討されなければなりません。

前立腺がんの再発(再燃)の診断と治療

PSA再発

一度低下したPSA値が再び上昇してきた状態です。
PSAの上昇のしかたは、月を追うごとに急上昇していきます。
PSA値の上昇が再発の最初の兆候であるため、治療後は定期的にPSA値を測定し、その推移を確認します。

通常、PSA再発が認められなければ、臨床的な再発もないため、それ以上の画像診断を行うことは不要と考えられています。各種治療後のPSA再発に対する標準治療はまだ確立していませんが、放射線治療、内分泌治療、化学療法などが状況に応じて行われます。

臨床的再発
治療後に明らかな局所再発や遠隔転移が出現した状態であり、もしくは治療後落ち着いていた病巣の増大や悪化、新病変の出現が認められた状態です。
通常、PSA再発が先行して起こり、それに続いて臨床的再発が認められます。

前立腺がん再発(再燃)の治療法
外科的な治療は難しく、放射線療法、内分泌療法、化学療法が検討されますが、以前行われた治療の効果は、期待できません。
前立腺がんの再発治療は、QOLを重視した緩和療法が主体となります。

がん治療の知識と情報の「がん治療法を選択するに際してのアドバイス」を参照ください。

□癌(がん)の何が生命を脅かすのか

癌(がん)関連遺伝子(癌遺伝子と癌抑制遺伝子)という遺伝子群の遺伝子の変異(2個〜10個)が遺伝子産物(変異タンパク質)を産生します。

遺伝子産物(変異タンパク質)は生体の生命維持に重大な支障を与え、多臓器不全や身体の衰弱を招きます。
遺伝子産物(変異タンパク質)こそ癌(がん)が生命を脅かす元なのです。

□がん細胞が産生する遺伝子産物(変異タンパク質)の生体に対する影響

がん化した細胞の種類や発生した部位により産生される物質も異なり、がんの病態や悪性度が規定されます。

また、同じ腫瘍内にあるがん細胞でも、クローン増殖(転写)するがん細胞の増殖スピードが早く、悪性度が高い、そして同じ腫瘍内に多くのクローンが混在していると考えられます。
抗癌剤等の薬剤治療により、クローンが死滅しても別のクローンが特別な物質(薬剤耐久性遺伝子産物(薬剤治療が効かなくなる))を産生し、薬剤や免疫(免疫回避機構)に依る治療等からすり抜ける術を獲得します。

がん細胞が産生する遺伝子産物(変異タンパク質)は細胞内に産生される物質と細胞外へ産生される物質があり、細胞内にはシグナル伝達関連タンパク質、細胞外には増殖因子、癌胎児性タンパク質(CEA、AFP)、酵素、ホルモン、サイトカイン等です。

この様な事に依り、がん細胞が無知秩序で抑制不能な細胞増殖や転移、がん細胞のアポトーシス抑制(がん細胞の不死化)やがん周囲の血管新生等の能力を獲得します。

生体に対しては、全身の代謝異常、消化器機能障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)、炎症誘導、発熱、悪液質(食欲低下、体重減少)、高カルシウム血症等、腫瘍随伴症候群と呼ばれる癌(がん)が産生した物質が血流に入って体内を循環する事で起こる症候群、特に病期(ステージ)の進んだ末期癌に多く見られます。

□癌(がん)を克服するには次の様なことが行われなければなりません

「抗炎症」「変異物質の抑制」「免疫細胞の活性」「癌細胞の死滅」「血液の改善」「クローン阻止」「活性酸素の消去」「代謝異常の改善」等を総合的に行わなければ癌(がん)克服の道筋は見えないのです。

漢方医学療法は、これら問題に対し学術的に裏付けられる療法なのです。
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