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プロテオグリカン
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偏性嫌気性菌
偏性嫌気性生物
ベンゾピレン
ペントースリン酸経路
補体
ホメオドメイン転写因子
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ホモログ
骨の構造
マ行
マトリックスメタロプロテアーゼ
(英:Matrix metalloproteinase、MMP)
MMPは、炎症性タンパク質分解酵素とよばれます。
メタロプロテアーゼ(活性中心に金属イオンが配座しているタンパク質分解酵素の総称)の一群でありMMPの活性中心には亜鉛イオン(Zn2+)が含まれる。

コラーゲンやプロテオグリカン、エラスチンなどから成る細胞外マトリックスの分解をはじめとし、細胞表面に発現するタンパク質の分解、生理活性物質のプロセシングなどその作用は多岐にわたる。

MMPファミリーに属する酵素は分泌型と膜結合型の二種類に分類される。分泌型MMPは産生後、分泌細胞から離れたところにおいても働くが、膜結合型は細胞表面に発現しているので活動範囲は狭い。

MMPは単に細胞外マトリックスを分解するにとどまらず、サイトカインなどの生理活性ペプチドの活性化など様々な生理現象に関与している。
MMPの基質には様々なものがあり、MMPは骨リモデリングや創傷治癒など生理現象のみならず、炎症や癌の進行などの病的過程にも関与している。

ミオグロビン
筋肉中にあって酸素分子を代謝に必要な時まで貯蔵する色素タンパク質である。1本のポリペプチド鎖と1分子のヘムからなり、酸素分子を結合する。筋繊維中に広く見られ、球状タンパクで酸素を蓄える。
筋肉が赤いのはこのタンパク質に由来する。

酸素に対する親和性がヘモグロビンより高いので、血中のヘモグロビンから酸素を受け取り貯蔵することができる。
ミオグロビンの構造と機能はヘモグロビンと類似性が高いが、ヘモグロビンが四量体であるのに対してミオグロビンは単量体である点が大きく異なっている。

153個のアミノ酸残基から成り、1個のヘムをもち、分子量は約1万7800である。タンパク質は8個のαヘリックスをもち、それらがヘムをとり囲んでいる。酸素分子はヘム鉄に結合する。 外部酸素濃度が低い場合、例えば筋肉の酸素要求が血液からの供給を超えた場合などにのみ酸素分子を放出し、緊急時の酸素貯蔵庫として機能する。

ミオスタチン
ミオスタチン(myostatin /別名 GDF-8 :Growth Differentiation Factor-8)とは1997年にMcPherronらによって発見された、TGF-βスーパーファミリに属する26kDaの糖タンパク質であり、筋肉増殖の負の制御因子としての機能を担っています。
ミオスタチンは主に骨格筋で合成され、骨格筋の増殖を抑制します。
ミオスタチン発現レベルの低下は筋肉量の増加と 体脂肪減少、ミオスタチン発現レベル上昇は、筋肉量の減少/消耗をもたらします。
これまでにミオスタチン遺伝子に欠損/異常のある ウシ、マウス等が知られており、野生型に比べ筋肉量が2~3倍に増加することが観察されています。

ヒトにおいても高齢者やHIV感染者における筋肉量の減少(サルコペニア)に関わっていること、ミオスタチンに異常のある新生児では筋肉が異常に発達することが報告されています。
また、血中ミオスタチン濃度は 有酸素運動によって低下すること、運動不足によるインシュリン抵抗性獲得にも関わっていることが示唆されています。

ミッドカイン
ミッドカイン(MK)はプレイオトロフィンとわずか 2 つでユニークな成長因子ファミリーを形成する。
MK の生物学的機能は、とくに癌、神経・心臓、炎症ならびに血圧の 4 つの分野で重要である。
それを支える生物活性として、抗アポトーシス・細胞遊走能・炎症性サイトカイン誘導・血管新生などがあげられる。

癌患者の血清中のミッドカイン値は多くの症例で上昇しており、ミッドカインは腫瘍マーカーとして有用であると思われる。
ミッドカイン値は早期癌の患者でも上昇することがあること、また予後の悪い患者で高値を示すことが多いことから、新規の腫瘍マーカーとしての有用性が高いと思われる。
一方、ミッドカインは癌細胞の生存と移動を促進し、血管新生を促し、癌の進展に関与する。

メタボローム(代謝物質)
分子生物学の一研究分野で、新陳代謝の実態および細胞、組織、器官、個体、種の各階層でそれぞれ微妙に異なる代謝経路の多様性の総体をバイオインフォマティクス的手法を基に研究する。

生体内には核酸(DNA)やタンパク質のほかに、糖、有機酸、アミノ酸など多くの低分子が存在し、その種類は数千種に及ぶ。
これらの物質の多くは、酵素などの代謝活動によって作り出された代謝物質(メタボローム)である。
現在では、細胞の働きを包括的に理解しようとするとき、これまでにも盛んに研究が行われてきているDNA 配列の網羅的解析(ゲノム解析)やタンパク質の網羅的解析(プロテオーム解析)に加えて、代謝物質の網羅的解析(メタボローム解析)が重要であると言われている。

生命のロバストネスにより、マイクロアレイ解析で変化が観察されても、表現型に最も近いメタボローム解析をしてみると変化が見られないこともあるからだ。

メタボロームはタンパク質、RNA、DNAそして様々な階層の概念を含む。
それはまた経路ネットワークを形成する小さな連携(回路)から構成される。

メタロプロテアーゼ
メタロプロテアーゼは活性中心に亜鉛を保持する蛋白質分解酵素の総称であり、ヒトゲノム上には186種類の酵素遺伝子が同定されている。
その中で、特に細胞外基質の分解に関与する一群の酵素をマトリックスメタロプロテアーゼ(matrixmetalloproteinase、MMP)ファミリーと呼び、細胞外基質分解の中心的な役割を担っている。

メチル化(DNAメチル化)
DNA中によく見られるCpGアイランドという配列の部分などで炭素原子にメチル基が付加する化学反応。エピジェネティクスに深く関わり、複雑な生物の体を正確に形づくるために必須の仕組みであると考えられている。
がんにも関わっている。
CpGアイランド:シトシンの次にグアニンが現れるタイプの2塩基配列(ジヌクレオチド)であるCpGサイトの出現頻度が、ゲノム中で他と比べ高い領域のことである。
CpGの「p」の文字は、シトシンとグアニンの間のホスホジエステル結合を表している。
哺乳類の遺伝子のうち40%近くが、プロモーター内部もしくはその近傍にCpGアイランドを含んでいるとされる。(ヒトの遺伝子のプロモーターでは約70%)。


DNAメチル化は高等生物において正常な発生と細胞の分化において極めて重要な役割を担っている。DNAメチル化は、細胞が「自分がどこにいるのか」を記憶できるように安定的に遺伝子発現パターンを変化させたり、遺伝子発現を減少させたりする。
例えば、胚発生の間に膵臓ランゲルハンス島となるようにプログラムされた細胞は、ランゲルハンス島であるようにシグナルを受け続けなくても、生物の一生に渡って膵ランゲルハンス島であり続ける。
さらに、DNAメチル化は時間と共に宿主のゲノムに取り込まれたウイルスやその他の有害な要素の遺伝子の発現を抑制する。

DNAメチル化はまた、クロマチン構造の基礎を形作る。
これによって、細胞は単一不変のDNA配列から多細胞生物に必要な無数の特徴を形成することができる。
DNAメチル化はまた、ほとんど全ての種類のがんの発達において極めて重要な役割を果たしている
DNAメチル化は正常な発生に必須であり、遺伝子刷り込みやX染色体の不活性化、反復因子の抑制、発癌 (carcinogenesis) など多くの鍵段階と関係している。

DNAメチル化は、2つの方法で遺伝子転写に影響を与える。
1つ目は、DNAのメチル化それ自身が物理的に転写タンパク質の遺伝子への結合を妨げるもので、より重要と考えられる。
2つ目は、メチル化DNAがメチル化CpG結合ドメインタンパク質 (methyl-CpG-binding domain protein, MBD) と結合することである。

異常DNAメチル化様式は、多くのヒト悪性腫瘍と関連しており正常組織と比較して過剰メチル化と低メチル化の2つの異なる形がある。
過剰メチル化は、がん抑制遺伝子のプロモーター領域に作用し転写を抑制する主要なエピジェネティク修飾の1つである
過剰メチル化は通常プロモーター領域のCpGアイランドで起こり、遺伝子の不活性化と関連している。
広範囲な低メチル化もまた、異なる機構でのがんの発達および悪性化と関連している。

遺伝子プロモーター領域のメチル化による遺伝子不活化の例として、ヒト乳癌、子宮癌におけるエストロジェン受容体欠如、非遺伝性乳癌におけるBRCA1の不活性化をあげることができる。

モジュラーポリケチド合成酵素
モジュール型ポリケチド合成酵素群は一連の巨大な多機能酵素で、酢酸やプロピオン酸 などの小さなカルボン酸の縮合を触媒し、幅広い生物活性をもつさまざまな構造のポリケチドを生成する。

ポリケチドはポリケチド合成酵素 (PKS) により生合成される。
ポリケチド (polyketide) とは、アセチルCoAを出発物質とし、マロニルCoAを伸張物質としてポリケトン鎖を合成した後、様々な修飾を受けて生合成された化合物の総称である。

「脂肪酸の生合成」と「ポリケチドの生合成」の過程は非常に良く似ているが、前者はカルボニル基 (-CO-) の還元を受けて炭化水素鎖を形成するのに対し、後者はカルボニル基の還元を受けずにポリケトン鎖を形成する点で差異がある。
両者の生合成の過程を合わせて酢酸・マロン酸経路と総称する。

モノクローナル抗体
抗体は多くの抗体産生細胞(B細胞)が作る。
抗原は多数の抗原決定基(エピトープ)をもつので、たとえ同じ抗原を認識する抗体を集めてとしても、それらの抗体はいろいろな抗原決定基を認識する抗体が混ざった状態で集められる。

このように同一でない抗体が多数混ざっている集合体をポリクローナル抗体という。それに対し、特定の抗原決定基だけと結合する抗体の集合体をモノクローナル抗体という。

モノクローナル抗体の性質は均一である。

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