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生命維持に重要な「代謝」について

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がん(癌)の知識と情報
生命維持に重要な「代謝」について
細胞には、細胞質と外界を隔てる膜構造に包まれ、内部には解糖系・クエン酸回路などの代謝する経路などを担い生命活動を恒常的に行う器官を持ち、自己再生と複製をするための遺伝子情報とそれを発現させる機能が備わっています。

生物が生存し増殖していく為には、エネルギーの獲得と細胞構成元素の摂取源が必要です。
生物は環境から栄養源 (エネルギー源や合成の為の元素源となり得る物質のことで、それぞれの反応を司る酵素に対する 「基質」 と呼ばれます) を取り込んでエネルギーを獲得し、生命を維持し増殖のための細胞物質を作り出しています。
細胞の中で「基質」が加工されていく、この多様な化学的変換の全ての過程を、ひっくるめて「代謝」と呼びます。

代謝には二つの方向があります・異化と同化

一つは「基質」が分解されて低分子の簡単な物質に変化していく反応で、主としてエネルギーを生成する為に行われ、「異化」と呼ばれます。
反対に「基質」がより複雑な高分子の物質に変化する反応は「同化」と呼ばれ、主として細胞成分を生成する目的で行われるものです。
然し、異化と同化はそれぞれ独立した反応経路ではなく、一つの代謝の中間物質が、別の代謝の「基質」になるなど相互に関連し合い入り組んでいることが多いものです。

有機物を分解する異化経路として重要なのは、好気性、嫌気性を問わず共通に利用される 「エムデン・マイヤーホフ・パルナス 経路」( EMP 経路) と、呼吸代謝生物に於いて 「EMP 経路」に引き続き、有機物を完全酸化する為に利用される 「クレブス Krebs 回路」 (別名「クエン酸回路」、或いは「トリカルボン酸 (TCA) 回路」) と呼ばれるものです。

「EMP 経路」は「解糖系」とも呼ばれ、癌細胞は、酸素の有無に関係なく解糖系の利用が亢進しています。


細胞の成り立ち